ASUS Ascent GX10で仮想通貨マイニングはできるのか―公開仕様から検証
目次
疑問 #
AI開発用の小型コンピューター ASUS Ascent GX10 は、使っていない時間に仮想通貨を採掘できるのでしょうか。最初にこの記事を書いたときは、デスクトップGPUの数値を当てはめて収益を試算しました。しかし、調べ直すと、その計算を裏付けるGX10の実測値は見つかりませんでした。
結論は、技術的に試せる可能性はあるものの、収益性を数字で示せる段階ではないです。以前掲載していた「Kaspaで1.8 GH/s」「日利15円」といった値は実測ではなく、根拠が不十分だったため撤回します。
公式仕様から分かること #
ASUSの国内仕様ページによると、GX10はGB10を搭載し、20コアArm CPU、Blackwell GPU、128GB LPDDR5X統合メモリ、1 PFLOPのAI性能を備えます。OSはNVIDIA DGX OSです。公式仕様に記載された消費電力は240Wで、海外向けプレス資料では本体入力の最大値を180Wとしています。これは電源や測定条件の表記が異なるため、実機のコンセント消費電力とは区別する必要があります。
重要なのは、1 PFLOPという値がAI向けの低精度Tensor演算性能であり、マイニングのハッシュレートではないことです。GX10のGPUはGeForce RTX 4090や5090と同じ製品ではなく、型番が違うGPUのハッシュレートを比率で移すこともできません。
なぜ収益を計算できないのか #
収益計算には、少なくとも次が必要です。
- 採掘ソフトがArm版DGX OSとGB10 GPUに対応していること
- 対象アルゴリズムごとの実測ハッシュレート
- 採掘中のコンセント実測消費電力
- 同じ日時の通貨価格、ネットワーク難易度、プール手数料
- 自宅の契約に基づく実際の電力単価
2026年8月11日の再調査では、これらを満たす再現可能なGX10のベンチマークを確認できませんでした。したがって、収益表を作ると見かけだけ正確な数字になります。
実機がある場合の確かめ方 #
試すなら、収益目的で購入する前に次の順で小さく検証します。
- 採掘ソフトの公式配布物にLinux Arm64版があるか確認する
- ウォレットを入れず、ベンチマークモードがあれば先に実行する
- 30分以上動かし、ハッシュレート、温度、クロック、エラーを記録する
- ワットチェッカーでコンセント側の平均電力を測る
- その時点の報酬と難易度を使い、電気代と手数料を差し引く
日次電気代は、平均消費電力を P W、電力単価を R 円/kWhとすると、P ÷ 1000 × 24 × R 円です。たとえば平均180Wなら1日4.32kWhですが、180Wで動くこと自体も実測で確認すべきです。
私の判断 #
GX10は、128GBの統合メモリとNVIDIAのAIソフトウェア環境を使うための製品です。公開情報だけを見る限り、採掘収益を目的に選ぶ根拠はありません。すでにAI用途で所有しており、ソフトウェア対応を自分で検証する実験としてなら面白い、という位置づけです。
参考資料 #
- ASUS Ascent GX10 スペック(ASUS、確認日 2026-08-11)
- ASUS Announces Availability of Ascent GX10 Personal AI Supercomputer(ASUS、2025、確認日 2026-08-11)